そおっとドアを開けた時
ママは歌いながら廊下を拭いていた
わたしがただいまと言って
ママがおかえりと言った
胸を撫でおろすように靴を脱いだ
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今日は必ず布団を干せと
朝のテレビで言っていた
雲の向こうに御日様が
いないわけでもないけれど
テレビとスマホとPCと
情報源にくる...
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雨雲がのそりとやってくる
友達になれそうだ
ぼくのこのどうしようもなさ
このおなじみのやつ
どうしようもないままで
また瘡蓋を剥がしてる
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おまえが掘っているそれは
トンネルなのか墓穴なのか
ニンゲンじゃないならカミサマなんだろ
見たとこイヌみたいだけど
今このときも新しい言葉が生まれて
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きみは十分に吟味した木の枝を
ぶんと振り回しながら歩いた
焼け落ちた神殿の敷石を叩き
草むらをがさがさ脅しながら歩いた
口笛
おい口笛なのか 続きを読む >>
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なんか食べたいね
なんかおいしいもの
ガッツリ系 シズル感 映え イイネ
食べた過ぎて絞れないよ
肉 魚 丼 定食
もう正直なんでもいんだよ 続きを読む >>
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あの時わたしは
あなたの海馬に触れ
感電してしまった
あの時あなたは
わたしの心臓に触れ
指紋を残してしまった
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クリーニング屋の針金ハンガーで
耳から引き摺り出した掻き出した
からっぽだ軽くなった重力はもう敵じゃない
地べたから3センチ浮いて歩く
昨日より3センチ高みか...
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死んだ豚を焼いて食べると美味しい
本当は死んだんじゃない 殺したの
殺した豚を焼いて食べると美味しい
誰かが代わりに殺してくれた
その人の名を私は知らない ...
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手の中の小鳥のように鼓動する心臓
ぼくの安心毛布であり自爆ボタンである
意味あり気な活字を唱えて
次第次第に透明になり広告だけが残る
日常の欠片を紡ぐ憧れの...
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今もあの家のあのテーブルの
誰も使わない灰皿の中に
砂漠の薔薇がころんと
誰かに貰った土産だと母は
その誰かは誰なのか知らないのだけれど
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不確かな明日に向かう ただそうすべきだから
空が燃えている いやな臭いがする
誰が知っている 誰に分かる そっと目を逸らす
進まねばならぬと ただ知っているぼくらは <...
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波の残像がくるぶしを撫でて
昼でも夜でもない隙間
受け取りそこなったボトルメールを
諦めそうになったり
鍵を探していたけれど
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バラの終わったバラ園で
いつものベンチに腰掛ける
キャメラを回す きみに向ける
細い指 細い煙草 細い紫煙の螺旋
「渡り鳥だ」きみは見上げる
「冬が...
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一瞬に一瞬が降り重なり
パラパラ漫画のように一続きの人生
巻き戻せないそれはできない
ぼくらはそこに向かっている
靄のかかった世界のあちらと...
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役目を終え 地に降り 粉々と砕け 土に還る
木の実が 果実が そわそわと揺れている
冬へと向かう子らよ それは必ず訪れる
白い毛布に埋められた 静寂が訪れる
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潜ってく
要らないものを掻き分け
底はまだまだ
いま言えなかったら
いつ言えるのだろう
口は退化して消えてしまう
もう光も届かない 続きを読む >>
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空もないのに雨は降ってる
濡れながら海を思い出す
悪い夢から出られない
三角座りで神さまを待ってる
誰かの食べ残しみたいな
破れて...
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月の無い夜に船を出す
波が私を眠らせる
鳥籠の中の心臓が
声を殺してなにか囁く
帰れないところまで
今夜私は行くだろう
古びたひとつ...
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夜みたいだ
切れ切れに見る夢が
意味を持ってしまいそうな
でも続き物じゃあない
ハイウェイパトロール
ナイトクルージング
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夏は踊る
誰も終わりが来るとは信じない
夏は笑う
大口開けて太陽を頬張る
果ての無い草原を駆け
永遠を手に入れる
肺の奥まで吸い込み ...
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あなたの言う愛はしょっぱくて苦い
なけなしの誠実 踏みしだく音する
誰になりたいのか教えて
偽物以上に偽物らしい
脱ぎ捨てた服 拾って辿って
そこ...
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嵐が来ると知っていた
そこまで来てると待っていた
もう風が渦巻き始めた
雲がちぎれて飛んでいくこんなに空は青いのに
二つ昇った太陽が
動けない足...
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ためいきみたいに
おもいでみたいに
きらきらと光っていた
わたしは閉じていたけれど
世界は開いていた
この手ではさわれないけど
たしか...
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あなたのまばたきも
あなたのさよならも
砂時計の一粒
降り積もる粉雪
その一粒
あなたは背伸びする
もっと先を見たい...
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彼女は神の楽器だ
ものすごくスペイシーで
ありえないほどプリミティブ
古代この貧しき地上に降り立った
なにものかの発した波動
そうだった
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